メジャーなプログラム言語ではプログラムのコメントからドキュメントを生成するライブラリがあります。例えばjavaだとjavadocが有名ですね。Pythonではsphinxというライブラリでドキュメントを生成することができます。このページではdocstringからsphinxを用いてhtmlのドキュメントを生成してみましょう。
Contents
sphinxとは
sphinxとはPythonドキュメントのために作られたpython製のドキュメント作成ツールです。reStructuredText(reST)という形式のマークアップで扱います。出力はwebで参照できるhtml形式以外に、LaTex形式等にも対応しています。
簡単な使い方
ではサンプルを通して簡単な使い方について学習しましょう。
インストール
まずはインストールです。pipでインストール可能です。
pip install sphinx
サンプルプログラム
以下の構成のプログラムを題材としてみます。
プロジェクトディレクトリ
├── docs # 空のディレクトリ
├── html # 空のディレクトリ
└── sample # ソース
├── pkg # パッケージ
│ ├── __init__.py
│ ├── __pycache__
│ │ ├── __init__.cpython-35.pyc
│ │ └── mod1.cpython-35.pyc
│ └── mod1.py
└── run.py
とりあえずpythonファイルはrun.py、pkg/__init__.py、pkg/__init__.py、pkg/mod1.pyの3つ用意してみましょうか。また、rstファイルのためのdocsディレクトリとhtmlドキュメントを格納するhtmlディレクトリを準備します。
run.py
# run.py
"""
メイン処理
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
メインの処理を行うスクリプトです
概要
--------
pythoのドキュメンテーションの説明用に作りました::
:copyright: (c) 2017 by the Kuro.
:license: BSD, see LICENSE for more details.
"""
from pkg.mod1 import SampleClass
def main(arg):
"""
文字列を装飾して表示します
:param arg: パラメータ
:return: 文字列
"""
obj = SampleClass(' ***** ')
text = obj.func1(arg)
print(text)
if __name__ == '__main__':
main("python最高!!")
pkg/__init__.py
# pkg/__init__.py
"""
sampleパッケージ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
sampleパッケージの説明文です
概要
--------
sampleパッケージです::
:copyright: (c) 2017 by the Kuro.
:license: BSD, see LICENSE for more details.
pkg/mod1.py
# pkg/mod1.py
"""
sampleモジュール sampleクラス等の説明文
"""
class SampleClass:
"""
sampleクラスの説明文
"""
def __init__(self, arg):
"""
引数の文字列表現の前後を装飾する
:param arg: パラメータ
:return: 結果文字列
"""
self.d_str = arg
def func1(self, arg):
"""
引数の文字列表現の前後を装飾する
:param arg: パラメータ
:return: 結果文字列
"""
result = self.d_str + str(arg) + self.d_str
return result
rstの生成
sphinx-apidocコマンドを以下のように実行します。
sphinx-apidoc -F -o ./docs ./sample
docsディレクトリにファイルが生成されていることが確認できます。
htmlの生成
最後にhtmlを生成しましょう。その前に、前の処理で生成されたconf.pyの以下のコードのコメントアウトを解除します。
# docs/conf.py import os import sys sys.path.insert(0, '/home/....')
では生成です。sphinx-buildコマンドを以下のように実行します。htmlディレクトリ配下にhtmlドキュメントが生成されます。
sphinx-build -a ./docs ./html
生成されたhtmlの内容を確認してみましょう。ブラウザhtml/index.htmlを確認すると以下のような画面が表示されます。

コマンドオプション
sphinx-apidoc
| オプション | 意味 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| -F | fullで生成します。指定しない場合はrstファイルのみ生成されます。 | ||||
| -f | 出力時に強制上書きをします。 | ||||
| -o | 出力先を指定します。 | ||||
| -H | プロジェクト名を指定します。 | ||||
| -A | authorを指定します。 | ||||
| -V | versionを指定します。 | ||||
| オプション | 意味 |
|---|---|
| -b | ビルダー(≒出力形式)を指定します。デフォルトではhtmlですが、xml、latexなどを指定することができます。 |
| -a | すべての出力ファイルを書き出します。このオプションをつけない場合は新規に作成されたり、変更のあったソースファイルに関連する出力ファイルだけを出力します。 |
tips
sphinx-apidocですが、1回めに-Fオプションを指定してconf.pyを修正し、2回め以降は-Fオプションを付ける、という方法でも良いのですが、ゴミが残ったりビルドの失敗に気づかなかったりするので、私は以下のようにrmとsedと組み合わせて毎回全部作り直しています。linuxやmacを利用している方は参考にしてください。
rm -rf docs/* rm -rf html/* sphinx-apidoc -F -o ./docs ./sample sed -i -e 's/# import os/import os/' docs/conf.py sed -i -e 's/# import sys/import sys/' docs/conf.py sed -i -e 's/# sys.path.insert/sys.path.insert/' docs/conf.py sphinx-build -a ./docs ./html
ただし、後述しますがsphinxでドキュメントを自動生成したあと、rstファイルを手動で追記することが多いです。その場合はls、egrep、xargsを組み合わせて特定ファイルは削除しないようにする必要があります。
