前回の続きです。jinja2は出力文字列に対しhtmlエスケープ等の加工処理を付加することができます。また、Linuxコマンドのパイプのように処理をつなげることができます。様々な組込みフィルタが用意されていますが、自作することも可能です。まずは組込みから見てみましょう。
Contents
フィルタ
組込みフィルタ
jinja2には予め組込みでフィルタが用意されています。よく使用するのはescapeというフィルタで、これはhtmlの特殊文字をエスケープしてくれます。xss対策に便利なフィルタですね。サンプルを見てみましょう。まず、テンプレートには以下のように出力部分にパイプでescapeをつなげます。
{# sample.tpl #} <ul> {% for item in items -%} <li>{{ item | escape}}</li> {% endfor %} </ul>
python側は以下のように記述します。出力する文字列にカッコやスペースが入っています。
from jinja2 import Template, Environment, FileSystemLoader env = Environment(loader=FileSystemLoader('.'), trim_blocks=False) template = env.get_template('sample.tpl') data = {'items': ['<みかん>', '<りんご>', '<バナナ オーレ>']} disp_text = template.render(data) print(disp_text)
上のスクリプトを実行すると、以下のようにエスケープされた状態で出力されます。
<ul> <li><みかん></li> <li><りんご></li> <li><バナナ オーレ></li> </ul>
スペースやカッコがエスケープされていることが確認できます。その他の組込みフィルタはここをご参照ください。
自作フィルタ
次にフィルタを自作してみましょう。(関数オブジェクトについて理解していない場合はさきにそちらを復習することをおすすめします。)
フィルタとして処理させる関数を定義し、その関数をEnvironmentオブジェクトのfilters辞書に設定します。例えば出力文字列の前後をアスタリスクで装飾したい場合、以下のようにします。
def sample(arg): """ 引数をアスタリスクで装飾した文字列を返す """ return "*** " + str(arg) + " ***" from jinja2 import Template, Environment, FileSystemLoader env = Environment(loader=FileSystemLoader('.'), trim_blocks=False) # 自作フィルタを設定する env.filters['sample_filter'] = sample template = env.get_template('sample.tpl') data = {'items': ['みかん', 'りんご', 'バナナ']} disp_text = template.render(data) print(disp_text)
テンプレートファイルには以下のようにフィルタに先ほど設定したsample_filterをパイプでつなげます。
{# sample.tpl #} <ul> {% for item in items -%} <li>{{ item | sample_filter}}</li> {% endfor %} </ul>
実行してみると、以下のように出力されます。
<ul> <li>*** みかん ***</li> <li>*** りんご ***</li> <li>*** バナナ ***</li> </ul>